『四畳半神話大系』 森見登美彦著

「幻の至宝 薔薇色で有意義なキャンパスライフ」
〜『四畳半神話大系』 森見登美彦著 〜

「もしもあの時に違う道を選んでいたら、もっと楽しい有意義な学生生活がおくれたかもしれない・・・・」
と思ってしまうことは、学生のみなさんなら少しは経験されたことがあるのではないでしょうか。
『四畳半神話大系』は、そんな「もしもあの時・・」の違う選択肢を選んだ並行世界が描かれる小説です。

主人公「私」は京都の四畳半一間の下宿に暮らす大学三回生です。一回生の春のサークル選びが間違いであったせいで二年間を棒に振ったと嘆き、「大学三回生の春までの二年間、実益あることなど何一つしていない」、「これが現時点におけるおまえの総決算だというのか」と自問し、自分が手にしていたはずの「薔薇色で有意義なキャンパスライフ」を熱望します。

この『四畳半神話大系』は全体が四話で成り立っています。
第一話「四畳半恋ノ邪魔者」では、「私」は興味惹かれたサークルの中から映画サークル「みそぎ」を選び、二年間を過ごします。
第二話「四畳半自虐的代理代理戦争」では、「私」は「弟子求ム」という奇想天外なビラに惹かれ、「樋口師匠」の弟子となり二年間を過ごします。
第三話「四畳半の甘い生活」では、「私」はソフトボールサークル「ほんわか」に入り、二年間を過ごします。
第四話「八十日間四畳半一周」では、「私」は秘密機関「福猫飯店」に入り、なぞの組織「図書館警察」の手先として二年間を過ごします。
入学からの二年間という同じ時間の中の話が4つ横並びになっていることになります。

違う道を選ぶことで「私」はどう変わるのでしょうか?
気になる方もそうでない方もぜひ読んでみてくださいな。
(でも残念なことに、情報館では所蔵していません・・・)

いずれの話でも「私」は「薔薇色で有意義なキャンパスライフ」を求めています。ですが、「他人の不幸をおかずにして飯が三杯喰える」という悪友「小津」に振り回され、「樋口師匠」に難題をふっかけられ、知的な黒髪の乙女「明石さん」と近づけそうでなかなか近づけないという彼の大学生活は、楽しい充実の日々に見えます。うらやましいかぎりです。

また、この小説は京都が舞台なので、京都在住の学生なら知ってる場所や行事などもでてきます。読みながらその場所や行事を思い出すのも楽しいかもしれません。

『四畳半神話大系』 森見登美彦著 
角川文庫、2008 
ISBN: 9784043878017

(text:しげを)

    fromKYOTO

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