図書館ではお静かに。のホントのところ。
いつも情報館をご利用いただき、ありがとうございます。
さて、図書館=静かにする場所。
こう聞いてまったくピンと来ない、という方は少ないのではないでしょうか。それほどこの認識は現実だけにとどまらず、小説、マンガ、ドラマに映画など、虚構の中にまで広くおよんでいます。
そして、それらの中に出てくる図書館は大抵静かにするべき場所と考えられており、たとえば登場人物が思わず大声を出してしまい周りから窘められる、というような場面を見かけたことがないという方のほうが珍しいのではないでしょうか。
ではなぜ静かにしなければならないのか。
それが図書館のルールだから――というのならば話は簡単なのですが、実はそうではありません。
たとえばルールというのは、学生証や利用証がないと本が借りられないとか、コピーするときはその内容の半分まで、などといった、「そうでなければ利用(使用)そのものが認められない」決まりのことです。
しかし「図書館ではお静かに」というのはそうではありません。多少騒がしくして注意を受けたとしても、それですぐさま図書館自体が利用できないようになることはありません。
それは「図書館ではお静かに」が、ルールではなく"マナー"だからです。
ではルールとマナー、その二つの違いはなんなのでしょうか。
前者は自分自身が図書館を利用する上で守らなければならないこと。
そして後者は皆が同じ図書館を一緒に利用する上で守らなければならないこと。
もちろん、これが映画館などであれば、もはや静かにすることはルールの範疇かもしれませんが(映画を見に来ているのに話し込んだり騒いだりすると、そもそも自分が映画を見れなくなりますし)、図書館、少なくとも情報館ではマナーです。
けれど、これは実は図書館に限った話ではありません。公共の場であれば大抵どこにでも通じるマナーです。ただ、とくに図書館には静かな場所であることを望む方が多いため、そのマナーに対する意識も強くなっています。
ですからマナーとは、多くの人々が集う場所では、自分自身だけが望むことではなく、他の方も含めてそこにいる皆がそうあればよいと思える場所を作るための「暗黙のルール」と言い換えることもできます。つまり、大多数の人がマナーを守っていても、ごく一部の人が守らないばかりに、ほとんどの人が快適な空間を利用できなくなるわけですから。
さらに、それがルールではなくマナーであるからこそ、他者が迷惑に感じていることを、知らされなければそれに気づけないかもしれないのです。
上で挙げた例のように、学生証がなければ本を借りることが出来ません。それならば「借りられない」という事実があるため、次は忘れないようにしようと思えることでしょう。
しかし、大声で騒いでいて、それを誰も注意しなくても図書館の利用自体が出来ないことはありませんが、だからこそ注意を受けなければ、そのせいで他の方たちが正常に(静かな環境で)図書館を利用できなくしてしまっていることに気づけないのです。
たとえば、電車内などで大きな声で話したり、携帯電話で通話したりしている人がいたとします。けれどなかなか他人に面と向かって注意するのは難しいものです。だからそれが周りの迷惑になっていることに本人が気づくことなく、ずっとその行為を続けてしまうことがままあります。
知らない間に誰かに迷惑をかけ続けている、なんてそれは誰でもイヤですよね。
ですから、もし情報館内で注意された場合は、「この行為は、図書館(公共の場)ではマナー違反なんだな」とその後の目安にして、その場での会話を止めるか、一旦場所を移動しましょう。(情報館内ならば入口のある2Fフロアは談話スペースとなっています)
そして情報館外、学外においても、公共の場所であればいつでもマナーというものに気をつけられるようになっていただければと思います。
(text:おとん)