ミラン・クンデラ『存在の耐えられない軽さ 』
「プラハの春」という言葉が以前から気になっていた。
その言葉から受ける印象は、明るい。
ブルタヴァ川(モルダウ)が流れる美しい街並みを持つプラハは
世界遺産の街である。
そして、「春」。
しかし、この言葉の意味するものは、その響きほどには明るいものでは
なく、むしろ暗くて重いものであることを知ったのは、つい最近になってからのことだ。
「プラハの春」については、チェコの歴史をひも解きながらその経緯を知る必要が
あり、ここで軽々に論じることはしない
しかしチェコと言う国は、昔から他国からの侵攻を受けてきた歴史を繰り返してきたようだ。
スメタナの『わが祖国』は、そうした悲しい歴史を持つチェコの国民を勇気づけたことであろう。
さて、ミラン・クンデラ『存在の耐えられない軽さ』である。
タイトルに惹かれて読み始めた。
最初は恋愛小説かとも思ったが、「プラハの春」についての記述もある。
彼は国内での著述を禁止され、その後フランスの市民権を獲得して作家活動を続けている。
ヨーロッパの国々には、歴史的な街並みや美しい自然が豊かであり、それに惹かれて
多くの観光客が訪れるが、そうしたものを守りつづけてきた国民の歴史にも、
目が向けられるべきであろう。
(ここで表記している国名の「チェコ」は、「プラハの春」当時はチェコスロバキアであり
1993年にチェコ共和国とスロバキア共和国とに分離した)
『存在の耐えられない軽さ 』
ミラン・クンデラ[著] ; 西永良成 訳(世界文学全集)
情報館所蔵:3F閲覧室908.I35 1-3
(text:bach憧憬)