教養について
教養について考えてみよう。
かつて、学問をすることは、教養を身に付けること、という
意味合いがあったように思います
しかし、今の大学教育では「教養」や「リベラル・アーツ」という
言葉をあまり聞かなくなったような気がします
著者の村上陽一郎氏は、いまあらためて「教養」を世に問うて
います
ところで、「教養」とはそもそも何を意味するのでしょうか
そして、なぜ人にとって教養は必要なのでしょうか
わたしがこの本に関心をもったのは、先ず本のタイトルに
惹かれたからです
そして頁を開くと、その序章のタイトルが「教養の原点は
モラルにあり」となっています
そういえば、学べば学ぶほどおのれの無知を知る、ということを
いつの頃だったか教わったような気がします
教養を豊かにするということは、自分が他人よりも優れている
ことを誇るのが目的ではなく、人が他人と社会生活を営むために
身につけておくべきモラル、すなわち徳性を備える、ということなの
でしょう
教養とモラルとが表裏一体のものであるとすれば、筆者がいま
この本を世に問いかけている意義は大変大きいと、わたしは
思います
『あらためて教養とは 』村上陽一郎 著
新潮文庫
(text:bach憧憬)