ゴルトベルク変奏曲

この曲は、数多いバッハの曲の中でも、『G線上のアリア』や『トッカータとフーガ』、『マタイ受難曲』などとならんで、演奏される機会の多い有名なもののひとつであろう。

この曲の演奏家として最も著名なのが、今は亡きグレン・グールドである。1982年に50歳で他界したグールドがその前年の春に演奏をしたこの曲は、世紀の名演といわれる。
他の演奏家のものとじっくりと聴き比べたことがないので、そうなんだ、と納得するしかないのだが、最初にこの演奏を聴いたときは正直言ってぶっとんでしまった。
あの大バッハの曲を、この御仁はこともあろうにハミングしながら弾いているのだ。
バッハの曲はリズムを一定に保たないと、何を演奏しているのか演奏する方も、聴く方もわからなくなってしまう、と教えてこられただけに、これは私の常識を超えてしまった。
これほどリズムカルで躍動的ではあっても、超人的といってもいい技巧に下支えられることによって新しいバッハ像を描くことに、グールドは成功したと、解釈すればいいのだろうか?

バッハとグールドの関係を考えるだけでも、この曲は大変深い。

(text:bach憧憬)


    fromKYOTO

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