『天使の梯子』 村山由佳

この梯子を上っていけばあの人に会えるかな。

雑誌「婦人公論」のインタビューで村山由佳さんが赤裸々な告白をされていて、村山さんの小説をずっと読んできた私は、納得したような、でもそれは黙っておいて欲しかったような、そんな気持ちになったのですが…。

「天使の梯子」とはもともと「薄明光線」という気象現象のことで、雲の切れ間から差す放射線状のカーテンのような光のことを言うそうです。幼い頃、神秘的なその景色を見てなぜか少し不安になったのを覚えていますが、天使の梯子と言うのだと知ったのは村山由佳さんのこの小説を読んでのことでした。

誰にでもやってくる大切な人との永遠の別れ。それが突然であればあるほど、心に空いた穴は埋められない。「いつまでも悲しんでいても、その人は喜ばないよ。前を向かなくちゃ。」とどれだけ他人から言われても、自分の心が乗り越えられなければつらく悲しい日々は続く。ふと見上げた空にその人の笑顔を見つけられたら、どんな時も一緒にいられるのだと歩き出すことがきっと出来る。

何年かかってもいい。ゆっくりと歩きだそう。

『天使の梯子』 村山由佳著
東京 : 集英社, 2007.10
(情報館所蔵)913.6||Mu 62 3階閲覧室

(Text:Booktree)

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