新解さんの謎

「れんあい【恋愛】:特定の異性に特別の愛情をいだいて、二人だけで一緒に居たい、出来るなら合体したいという気持ちを持ちながら、それが、常にはかなえられないで、ひどく心を苦しめる・(まれにかなえられて歓喜する)状態。」

上記の文章はある国語辞典からの引用です。て、ちょっとびっくりしませんか?常にはかなえられないけどまれにかなえられるのか。そうね、うん。「出来るなら」「合体」したいわね。って。ううう…。いや、確かにその通りだけれども。

以前記事を書いた都築響一さんの『夜露死苦現代詩』を、図書スタッフの米騒動さんにオススメしたところ、これがお好きなら絶対これもお好きですよ!といって教えてもらったのが

「新解さんの謎」赤瀬川原平著(文藝春秋)
情報館所蔵 3F閲覧室 914.6||A 32

でした。

この本は「新明解国語辞典」(三省堂)を髄の髄まで読み込んだ赤瀬川氏(とその友人のSM氏)が、ただの語句の説明に終わらない、「明解」すぎる解説からにじみ出る人物像を「新解さん」と名付け、彼の人格を掘り下げていく内容となっています。

電車の中で笑いがこらえられないほどにおもしろい新解さん。友人は、「新明解国語辞典って言ったら、中学の時に買わされたで」と言っていました。

しかし、恋愛なんてほとんどかなえられないものだなんて。中学生相手にそんなにもきっぱりと言ってしまっていいんでしょうか…。

恋愛だけじゃありません。

「じっしゃかい【実社会】:実際の社会。〔美化・様式かされたものと違って複雑で、虚偽と欺瞞とが充満し、毎日が試練の連続であると言える、厳しい社会を指す」

「【動物園】:生態を公衆に見せ、かたわら保護を加えるためと称し、捕らえて来た多くの鳥獣・魚虫などに対し、狭い空間での生活を余儀無くし、飼い殺しにする、人間中心の施設。

こ、恐いよう!!ていうか、めっちゃ主観的じゃないですか。
新解さん、あなた誰かを恨んでいますか?

しかしその一方で、
「はくとう【白桃】:〔黄桃と違って〕実の肉が白い桃。果汁が多く、おいしい。」

おいしい。言い切ってるよ!辞書なのに!!
なんかかわいいぞ!

多感な中学生にはちょっと心配な気もしますが、大人になったからわかる、新解さんの中にあるどろどろとしたもの。そしてその可愛らしさ。国語辞典のくせにこんなにも人間らしくていいんでしょうか?

この本を読み終えた私は、思いました。
新解さんと飲みに行きたい…。
あー、でも、ちょっとめんどくさい奴っぽいなあ。

(text:meganet)

    fromKYOTO

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