一度読んだら忘れられない小説〜『春琴抄』谷崎潤一郎 〜

強く印象に残って、忘れられないことってありませんか?
他人からかけられた言葉だったり、情熱を注いだことだったり、心に残る風景だったり…。

私にはたくさんあります。
そして、それは日常を過ごしていると忘れがちですが、実は心の奥にこっそり眠っているだけで、決断をしなくちゃいけない時や、いざという時に思い出している気がするので、私の人生に影響していると感じます。

そう思うと、印象に残っている言葉ってすごいなぁと思います。
他人から言われたことだけではなく、小説の中に書いてある文章だって同じだと思うのですが、では、大学時代に読んだ本で、印象に残っている本ってなんだろう…と振り返ってみました。
すると、思いついたのが、谷崎潤一郎の『春琴抄』でした。

句読点や改行が少ないため文字だらけ、さらに現代では使われていないような表現もあるので、「読みにくい!」と感じたのですが、それがかえって必死にさせ、気がついたら谷崎ワールドの中へ。

時代は明治、主人公は大家の娘春琴と、その家の奉公人佐助。
春琴は、盲目ながら琴に優れた才能をもった美女。お嬢様でわがままな性格だが、そんな春琴に佐助は恐ろしいほど献身的に従う。そんな二人が繰り広げる物語。

寝ている間に熱湯を顔にかけられ、春琴の美貌が失われたり、佐助が自身の目を突いたりと、なかなか恐い場面がある小説ですので、そういうのが平気な方だけどうぞ。それ以外の方にはお勧めできません(笑)
そんな恐い場面もあってか、かれこれ4〜5年前ほどに読んだのに、いまだに強い印象が残っています。

そういえば映画化もされたはずだと思い出して、調べてみたら山口百恵(春琴)と三浦友和(佐助)主演のものもあったり、宝塚歌劇団でもされていたりしてびっくりしました。
小説が読みづらいようなら映画や舞台もお勧めです。

『春琴抄』谷崎潤一郎著(新潮社, 1987)
情報館所蔵 3F文庫新書コーナー 913.6||Ta 88||新/文
『盲目物語 ; 春琴抄』谷崎潤一郎著(岩波書店, 1986)
情報館所蔵 3F文庫新書コーナー 913.6||Ta 88||岩/文

(text:SHS)

    fromKYOTO

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