ボルベール ―帰郷―
「KIKA」や「オール・アバウト・マイ・マザー」などスペインを代表するペドロ・アルモドバルの作品。
スペインが好きなのか、スペインを知らないからか、いわゆる情熱的といわれる人柄をかいた彼の作品にいつも惹きつけられます。
今回は多くの出演者が女である。
それぞれ、とてもしたたかでチャーミングで、やはり何か熱いものを持つ女たち。
その女たちの秘密。
友人の空けた店で勝手に商売をはじめちゃったり、母のことをロシア人だと嘘をついたりの行動も、人を思えばこそ(ここでは親子愛)の奇行だと思えば、たとえそれが一方向から見れば許されないことだとしても、その理由を知ったときには首をたてにふってしまいそう。
人々にはやはり規則や理屈で縛れないものがあるのだな。
この人もこの人もこの人もルールには関係なくみんな違うことを考えている。
何かが起ればどうなってしまうかはわかりかねるものなのだ。
私もあなたも。
愛するもののために力は発揮され、誰もが幸せになる権利を持っていることを証明するような作品。
そして、ライムンダ(ペネロペ)の歌うシーンがとても素敵です。
『ボルベール <帰郷>』
2006年 / スペイン / 120分
配給:ギャガ・コミュニケーションズ
監督: ペドロ・アルモドバル
出演:ペネロペ・クルス / カルメン・マウラ / ロラ・ドゥエニャス / ブランカ・ポルティージョ / チュス・ランプレアヴェ 他
(text:YN)