『ニシノユキヒコの恋と冒険』 川上弘美

私はニシノユキヒコが好きです。

帰りの電車で読んで「失敗した…」と思った。2編目の「草の中で」を読んでいたところ、ある一節にぐっと胸をつかまれて、平常を装うのに必死になってしまった。自分がいったいどんな表情をしているのか。そう思ったら挙動不審になってしまった。それ以来、この本は私の家のテーブルの上に置かれたまま。この夏にゆっくりと読もうと思っている。

タイトルにあるニシノユキヒコは女性にモテるはずなのに、最後には必ず去られてしまうらしい。優しくて、でもクールで、どこか影がある…危うい魅力。でも自覚がなさそうなところがモテる理由なのかも知れない。

川上さんの小説に共感する人が多いということは、誰もが不安定な部分を抱えているんだろうか、といつも考える。川上さんに限らず小説はそういうものなのかも知れないけれど、自分が人と違ってどこか欠けているんじゃないだろうかと不安になる時、川上さんの小説に触れると安心する。

一見、普通の恋愛短編集です。
でも電車で読むのはお薦めできません。少なくとも私は…。

(Text:Booktree)

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