『古道具 中野商店』 川上弘美

「だからさあ」って突然言われても。

古道具屋を営む中野さんは「だからさあ」が口癖。それも前後の脈絡なく唐突に言われるので何のことだかわからない。「声に出さないで頭ん中で喋るんだよな、俺って。」ということらしい。こんな変わり者の店主に巻き込まれる人々…という話かと思いきや、様々な登場人物とそのエピソードに、読み進めるうちに中野さんが一番普通の人に思えてくるから不思議。

『センセイの鞄』はプラトニックなラブストーリーだったけれど、この『古道具 中野商店』では結構大胆な表現もあって、川上弘美さんにますます興味を持った。少し前に『婦人公論』で山田詠美さん、江國香織さんと仲良し対談をされていて、なるほど道理で私の趣味に合うんだわと納得したのでした。

人間色々あって、色々あるからこそ味も出てくるのかな、と今さらながら思ったり。私はどの登場人物も身近に感じられて、友達になってみたいな〜と思ったのですが、みなさんはどうでしょうか。

(Text:Booktree)

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