ダニエル・デイ=ルイス

先日発表された第80回アカデミー賞で懐かしい名前を発見! 誰かがウィノナ・ライダーを紹介してたけど、そういえば共演してましたな。

はい、ダニエル・デイ=ルイスです。若い人たちにとってはあまり印象にない名前かもしれませんが、80年代後半から90年代前半にかけて大活躍したイギリス人の俳優さんです。代表作はなんといっても『マイ・レフトフット』(1989)。この作品でアカデミー主演男優賞を受賞し、一躍脚光を浴びるようになりました。その後は『ラスト・オブ・モヒカン』(1992)『父の祈りを』(1993)などで強烈な個性を発揮しましたが、『ボクサー』(1997)を最後に「ボク、靴職人になるっ!」といって突然映画界から去ってしまいます。しかし、これほど演技力のある人を映画界が放っておくわけもなく、マーティン・スコセッシ監督が必死の説得。そして、出演にいたったのが『ギャング・オブ・ニューヨーク』(2002)でした。スコセッシ監督が「帰ってきて〜ん」と説得しなければ、今頃彼はイタリアで靴を作っていたかもしれません。そこからさらに5年、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』で再びアカデミー主演男優賞の栄冠を手にし、今後の活動に再び注目が集まっています。

『マイ・レフトフット』 監督:ジム・シェリダン 1989年
彼の出世作。先天性の脳性麻痺によって左足しか動かすことのできない芸術家クリスティ・ブラウンの自叙伝を映画化したもの。涙なしでは観れない名作です。この作品以前にも『眺めのいい部屋』『存在の耐えられない軽さ』などの代表作はありますが、やっぱりここからが彼のキャリアの真骨頂。

『父の祈りを』 監督:ジム・シェリダン 1993年
ギルドフォード・パブ爆破事件の犯人として冤罪で逮捕されたアイルランド人ジェリー・コンロンの手記が原作で、ジェリー・コンロンと父親の再審への長い戦いを描いた作品。徹底した役作りをするダニエル・デイ=ルイスの本領発揮、鬼気迫る演技が観る者を不幸な気持ちにしてくれます。

ウィノナ・ライダーとの共演作はこれ!
『エイジ・オブ・イノセンス』 監督:マーティン・スコセッシ 1993年
19世紀末のニューヨーク社交界を舞台にした恋愛映画。『父の祈りを』と同年に公開されたこの作品のダニエル・デイ=ルイスは、個性的な役柄が続いていただけに普通のおっさんにしか見えなかった(いや、それが演技力というものか)。ウィノナ・ライダーがコルセットをキュウキュウ巻かれて「苦しいやないのっ!」と怒っていたシーンだけが何故だか妙に印象深い。
この作品のウィノナは、他に好きな人がいる男と結婚してしまった妻の役。「あたし、子どもできたから!」と、ライバルであるミシェル・ファイファーにわざわざ報告する意地悪さは、いま思うとその後の奇行ぶりを暗示していたのかも。さすがはマーティン・スコセッシ!当時、かわいさ先行だったウィノナの本質を暴き、見事ゴールデングローブ助演女優賞に導きました。もちろんアカデミー賞にもノミネートされ、ウィノナはかわいいだけじゃない演技もできる女優として、この後しばらくは絶大な人気を誇ることになるのでした。しばらくは。
参照:from Kyoto 2008/02/28『前略、ウィノナ・ライダー様』

(text:Hh)

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