『哲学の始まり』 ハンス=ゲオルク・ガダマー

現代ドイツを代表する哲学者 ハンス=ゲオルク・ガダマー。ガダマーが、1988年イタリア・ミラノで行った“ギリシャ哲学の始まり”についての講義録。

「わたくしたちの文化は不確かで自信を欠いた状態にあるため、西欧の文化とは異種の、ギリシャ文化に由来しない、まったく別種の諸文化と接触をもとうとしています。」(第一講「始まりの意味」より)
ガダマー自身の嘆きから始まる初期ギリシャ哲学講義。西欧文化の始まりはギリシャ文化の始まりであると位置づけ、自らが所属する不確実な文化圏の原点を、その文化の継承者の一人として、ソクラテス以前の哲学、とりわけプラトンとアリストテレスに焦点をあてて、読み解いていく。
草稿無しで進められた講義の上、講義の雰囲気を損なわないよう配慮された聴講者に語りかけるような文体で書かれており、読み進むうちにガダマー自身から講義を受けているような錯覚に陥る。堅苦しい一般の哲学書ではなく、語り手の人柄、温かさが感じられる一冊。

『哲学の始まり』 
ハンス=ゲオルク・ガダマー著 箕浦恵了, 國嶋貴美子訳
法政大学出版局 2007.10 9784588008726
情報館所蔵:3F一般書 131.1||G12

(text:Hh)

    fromKYOTO

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