『うそつきの進化論 : 無意識にだまそうとする心』

 ウソをつくのは正常なこと。…だそうです。

進化心理学の分野では、嘘をつくのは例外的な行為ではなく、ごく正常な反射的行為であるとされるらしい。私たちは嘘を「悪」と言うが、“子どもを楽しませるため”のおとぎ話や女性の化粧も「嘘」であり日常の中でごくありふれたことなのだと本書では述べている。さらには、私達は自分でも気がつかないうちに他人を騙しているのみでなく、「自己欺瞞」により自分の身を守っている。「正直さばかり積み上げていけば、その重みに耐えきれずに崩壊してしまう」のだと述べる。実際、うつ病患者は「正常」とされる人よりも現実を的確に把握しているという実験結果もあるという。人間が本能として持っている「嘘をつく」という性質について、様々な事例を交えながら論じられる。

なるほど、そうかも知れないが、だとしたら人間ってなんてコワいんだ…と思ってしまう。本音とタテマエとか、猫をかぶるとか…日本にもそんな言葉があるけれど、相手の腹の探り合いなんて考えただけでぞっとする。

いやいや、そうじゃないんだよ、とこの本は言いたいのだ。腹の探り合いなんて思うからしんどくなるのであって、もっと自然なこととして受け入れればいいのだ…。

嘘にまつわるあれこれに興味を持ったあなた!
情報館広報紙 『情’s people』 3月号のテーマはずばり「嘘」。スタッフによるコラムや、嘘に関する本をご紹介します。情’s people3月号は3月10日発行予定。お楽しみに。

(情報館所蔵)
『うそつきの進化論 : 無意識にだまそうとする心』
デイヴィッド・リヴィングストン・スミス著 141.6||Sm 5 3階閲覧室

(Text:Booktree)

    fromKYOTO

    卒業生・学外の方へ:利用のご案内

    マイライブラリ:マイライブラリについて

    交通アクセス:京都精華大学サイトへ

    公式Twitter