文化系トークラジオLife

わんばんこ、鶴光でおま。

むむ、懐かしい。最近でこそ視覚文化が主流の印象があるが、僕らの世代以前はラジオといえば思春期には欠かせないメディアだった。ラジオならではの面白さというものがあり、居酒屋で交わすような雑多なトークはラジオを通じて発信されるのがうってつけではなかろうかと思う。

本書は「文化系トークラジオLife」という番組の内容を書き起こして書籍の形態に再編集したもの。若手社会学者の鈴木健介氏をメインパーソナリティに、仲俣暁夫、佐々木敦、柳瀬博一、斎藤哲也、津田大介、森山裕之といった30-40歳代の気鋭の編集者・ライターが各回入れ替わりでゲスト参加するトーク番組。テーマは、サブカル全般、若年犯罪、異性、労働、など多彩。気のおけない楽しい座談内容ではあるが、話が労働問題に及ぶと、リスナーも含む若者たちのルサンチマンが爆発する寸前状態でトークが進んでいく。

さて、この本の中で佐々木敦さんは「無駄なものとしての教養」「教養はいろんな知識から実学的な部分をマイナスしたもの」と言っておられる。そういえば恵文社の堀部篤史さんもSeika Music Seminarの最後で「無駄の中にこそ宝がある」という勝新の金言を引いておられた。そう、就業等の社会問題を考える以前に、まずは世間の実学志向の風潮を訝しんでみたい。

若者にとってなにもかもが不確実に思える時代にあって、他人とのコミュニケーションだけが、己の存在を担保するように感じせしめ、せめてもメンタルバランスを維持するための手段となるのではないかと私見する。就職に有利な資格の取得よりも、コミュニケーションに不可欠なリングアフランカとしての文化的教養の獲得にこそ重きを置き、それを拠り所とする価値観の転換が図られるべきだろう。たとえその教養なるものがクソの役にも立たないものだとしても。

まずは番組を聴いて触発されてみてください。

TBSラジオ954kHz 「文化系トークラジオLife」
URL:http://www.tbsradio.jp/life/

※ポッドキャスティング対応。

(text:情是)

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