ヒトデはクモよりなぜ強い

生物学の本ではない(第一、どうやってヒトデとクモが戦えるというのだ)。「21世紀はリーダーなき組織が勝つ」という副題が語るように、さまざまな事例を引きながら分権型組織の強みをわかりやすく説く組織論である。セイカの場合はどうだろうか・・・。

クモ型組織・・・中央集権型、トップダウン型、指示命令型
ヒトデ型組織・・・分権型、ボトムアップ型、自律分散型

あくまで私見だが、この大学には本来「ヒトデ」型の良さがあったはずだ。今でもその名残は感じられる。しかし、組織規模の拡大とともに世間並みに中央集権型を志向しつつあるのではないか。各構成員が自律できなくなっており、分権化のリスクの高さを考慮すれば致し方のないことなのだろう。これは「自由自治」という理想の実現が困難であるという問題とも無関係ではないと思う。

本書は分権型組織を手放しで礼賛しているわけではない。Amazonのレビューでは触れられていないが、「ヒトデ」型コミュニティを有効に機能させるのに欠かせない「触媒」の存在を重要視している。さて、「触媒」とは、その役割とは何だろうか?さらには、本学における「触媒」に相当する人々とは誰なのだろうか?この本を読んで考えられるのも一興。
もとより、分権型組織を是として考えられる読者に限っての話だけれど・・・。

追伸:『ウィキノミクス』あたりが好きな方にもお薦めします。

(text:情是)

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