美味しい料理の哲学
文化情報課のおてんば娘Sさんが、或る日、2007年度後期の公開講座GARDENの講師として廣瀬純さんはどうだろうかと僕に相談を持ちかけてきた。
浅学を自認してはいるが、たまたま廣瀬先生のご活躍は存じ上げていたので「ええんちゃう!」と意気投合。Sさんの性格からして、こちらが彼女の背中を押したからという理由では決してないだろうが、廣瀬さんを現代思想講座の講師としてお招きする運びとなった。
先生の書かれたこの本が料理のレシピ本でないことはいうまでもない。「道徳の系譜」というシリーズ名(河出書房新社のこの叢書は素晴らしい)を見れば瞭然のとおり哲学・思想に分類される図書である。料理がなぜ美味しく感じられるのかを現代思想の理論を用いて解き明かした、類書なき画期的な本なのだ。否、その逆で、料理を小道具に使って難解な現代思想を平明に解説したと言うべきだろうか。
こんな着想のユニークな方が本学の公開講座で今度は「サーフィン」を切り口に(!)現代思想を語られる予定になっています。まったくシビれますね。イケてます。世間知らずの僕が言うのもなんですが、数十年に一人出るか出ないかというレベルの有望な研究者ではないでしょうか(経歴も圧倒的)。「廣瀬さん、うちの専任教員になってくれたら嬉しいなぁ・・・」と思う今日この頃。
(text:情是)