情報館特別展示『人間国宝のステキな愉しみ~富本憲吉のグラフィック・ワークス~』
富本憲吉(1886~1963)は陶芸家として大変著名な人物である。1955年(昭和30年)に第一回重要無形文化財技術保持者、所謂「人間国宝」に認定され、さらに1961年(昭和36年)には文化勲章を授与されるなど、陶芸作家として頂点を極めたと言えよう。一方で富本は本の装幀をてがけている。木下杢太郎著『和泉屋染物店』(明治45年7月刊)や、妻となる尾竹一枝が平塚らいてう主宰の『青鞜』から離れた後に創刊した『番紅花(さふらん)』(大正3年創刊)の表紙絵を始めとして、長與善郎著『青銅の基督』(大正12年2月刊)等その生涯にわたって数多くの装幀を行っている。
富本は東京美術学校の図案科に入学し、翌年には建築及び室内装飾を専攻。卒業を前にして建築図案を研究するためにロンドンに私費留学し、さらに同地のアートスクールでステンドグラスを学ぶなど、陶芸家としてだけではとらえきれない側面をもった人物である。富本は次女である富本陶に宛てた手紙に、装幀は好きではない、と言いつつ丹羽文雄の『幸福』の装幀が評判になっているから立ち読みでもしなさい、と書いている。
今回の特別企画では、そうした総合芸術家ともいうべき作家の“愉しみ”であったに違いない装幀本を中心に展示して、陶芸家・富本の別の顔を紹介していく。富本に対するイメージがさらに拡がることになれば幸いである。
実施要綱
■会期:2010年6月28日(月)~ 7月24日(土) (日曜祝日休館)
■時間:月~金曜日:8:30-20:30 土曜日:8:30-18:00
■会場:京都精華大学情報館
■入場料:無料
■主催:京都精華大学情報館
■監修:山本茂雄(富本憲吉記念館館長)、海藤隆吉(ジャズピアニスト、富本憲吉の孫)
■デザイン:福山 賜
特別対談会 『富本憲吉と装幀本』 ※盛況のうちに終了いたしました。ありがとうございました。
■日時:7月1日(木)18:00~19:30
■場所:京都精華大学情報館1階メディアセンターホール
■対談者:山本茂雄、海藤隆吉、佐藤守弘(京都精華大学デザイン学部准教授)
お問い合わせ
京都精華大学情報館情報館課(担当:大坪)
TEL:075-702-5137 FAX:075-723-1505
E-mail:ohtsubo@kyoto-seika.ac.jp