太田昌国氏講演会w/ウカマウ集団とラテンアメリカ映画祭

人文学部社会メディア学科の辻節子先生のコーディネートにより太田昌国氏を講演にお招きすることになりました。事前勉強会として「ウカマウ集団とラテンアメリカ映画祭」も開催しますのでふるってご参加ください。人文学部の学生さんだけでなく芸術・デザイン・マンガ学部や研究科の学生さんたちの参加もお待ちしています。

学外の一般者も大歓迎です。事前申込不要・入場無料

・太田昌国氏講演会
・講演要旨
・講師プロフィール
・ウカマウ集団とラテンアメリカ映画祭

太田昌国氏講演会

12月13日(木)16:30-18:00 情報館1Fメディアセンターホール
「暴力的グローバリズムに抗する映像表現」 ※講演会終了後、ウカマウ集団最新作『最後の庭の息子たち』の特別上映あり
※現代企画室からのご厚意により14日18:00〜追加上映を予定

講演要旨

ボリビア先住民の視点から、アンデス地域の歴史過程と現実を描き出す映像制作グループ「ウカマウ集団」。その諸作品では、コロンブスの航海に続く「新大陸征服」が遺した傷跡から、現代の超大国が行なう政治・経済・軍事・宗教上の介入までもが、明確に描かれています。同時に、変貌する時代状況のなかで、民族的アイデンティティとは何か、の模索も続けられています。軍事政権下での亡命時代にも、また配給市場の狭さにもめげず、したたかに自作映画の制作・上映・配給活動を続けています。そんな彼らを遠く日本から支援する「シネマテーク・インディアス」の事業を紹介するとともに、ラテンアメリカ諸国の近現代史を参照しながら、ウカマウ集団の映画を理解するうえで欠かせない文脈について解説します。また併せて、チャベスやモラレスの台頭にみられる南米諸国における近年の政治動向や今後の展望についても触れます。

当日配布レジュメ内容

1.「アメリカ」が世界史に登場したとき
・【1492年】の歴史的意味
・植民地化=多民族支配の開始(一国内における「支配・被支配関係」とは異なる支配関係の始まり)
・「グローバリゼーション(globe,globarization)=全球化」の端緒をどの時代に求めるか
・近代に入って、ヨーロッパとアメリカの相克
・アメリカ合衆国によるアメリカ大陸の全的支配(19世紀初頭以降現在まで)
2.アンデスの国=ボリビア
・キューバ革命(1959年、再来年2009年は「50周年」の状況規定力)
・1967年、反帝国主義・反政府ゲリラ闘争を行なっていたチェ・ゲバラの死、この出来事に反映している当時の世界およびボリビアの政治・社会状況
・この状況の中で始まったウカマウ集団の映像表現課題としたこと
3.状況の大きな変化にいかに向き合うか
・1980年代:社会変革運動の停滞と低迷
・グローバリゼーションの進行:世界の他地域に先駆けてラテンアメリカ地域が経験
・ウカマウの映像表現の「変貌」
4.グローバリゼーションを経験したからこその現代ラテンアメリカの変化
・「1992年」=コロンブス航海から500周年の意味:現在的現象としてのグローバリゼーションを歴史的展望の中で捉え返そうとする理論的な試み、過去の「記憶」と「再生」
・2006年、ボリビアにおけるエボ・モラエス(先住民、アイマラ人)政権の成立
・各国において「反グローバリズム」を掲げる政権の成立とそれを可能にした民衆運動
・ウカマウはいま何を撮るか
5.政治・社会状況と「表現」
・「表現」の背後に広がる歴史と世界
・「表現」を可能にするもの
・「表現」の中立性と党派性
6.ウカマウ集団と日本の私たち(シネマテーク・インディアス)の共同作業

講師プロフィール

1943年北海道生まれ。東京外語大ロシア科卒。60年代の世界的な政治・社会の激動の中で受けた衝撃の下に、世界像を新たな視点で捉えるための活動に従事。70年代にはラテンアメリカ各地を生活・労働しながら放浪する。現在、現代企画室に勤務する傍ら南北問題・民族問題に関わる研究に従事し、書籍・雑誌・Web・講演会などで幅広く意見を発表し続けている。「シネマテーク・インディアス」主宰。近著に『暴力批判論』(太田出版)がある。

ウカマウ集団とラテンアメリカ映画祭

A.『第一の敵』(1974年/ボリビア/110min.)
–支配階級の不条理に立ち向かうアンデス農民の闘争を描いた政治色の強い作品。
B.『地下の民』(1989年/ボリビア/125min.)
–美しいアンデスの山々を舞台にした民族的アイデンティティの死と再生の物語。
C.『鳥の歌』(1995年/ボリビア/104min.)
–ウカマウ集団自身が出演する皮肉にみちた自己省察的メタフィクション。
D.『最後の庭の息子たち』(2003年/ボリビア/97min.)
–混沌たるボリビアの政治・社会状況下で葛藤する若者たちを映し出す青春群像劇。
E.『ラテン・アメリカ 光と影の詩』(1992年/フランス=アルゼンチン/140min.)
–南米大陸縦断紀行という形を借りてラテンアメリカの諸問題を戯画化した映像叙事詩。
F.『ハーダー・ゼイ・カム』(1972年/ジャマイカ/103min.)
–レゲエ文化を世界に知らしめたジミー・クリフ出演の記念碑的映画。
G.『モロ・ノ・ブラジル』(2002年/ドイツ=フィンランド=ブラジル/109min.)
–バイーア、リオへとブラジル音楽のルーツを辿る感動のロードムービー。

12月10日(月) 15:30- E 18:00- A
12月11日(火) 16:00- F 18:00- B
12月12日(水) 16:00- G 18:00- C
12月13日(木) 16:30- 講 18:00- D
12月14日(金)   18:00- D

上映会場 情報館1Fメディアセンターホール
※現代企画室からのご厚意により14日追加上映を予定

主催 京都精華大学人文学部社会メディア学科
共催 京都精華大学情報館
後援 現代企画室
問い合わせ先 京都精華大学情報館図書情報課(担当:西口
t: 075-702-5137 / f:075-723-1505


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