レビューコンテスト結果(金鹿賞・銀鹿賞受賞作品)

金鹿賞(P/N)加地さん
『Rahmens atom』(小林賢太郎脚本・演出)


「犯人はおまえだ!」
芸術知能犯、そう呼ばれるには訳がある。
コントなのか漫才なのか劇なのか、彼らの造る舞台は何者でもない、ラーメンズと言うジャンルで成り立っている。
作・演出を共に手がける小林賢太郎、その存在感は唯一無二の片桐仁。
彼らの描く非日常の中の日常は、あえてごく限られた「箱」のみで構成されるセットで演じられ、パントマイムによってすべての物事が現実の物となる。
時に二人とも舞台上に居るのに最後まで一人で喋り続けるコント、様々な言葉の伏線に待つ結論は時にミステリー、最後まで何者なのか分からない登場人物。
すべての要素が最終的に一つのオチに集結する。
その瞬間の「してやられた感」がめちゃくちゃくやしい。
しかし次に待っている私の気持ち、「次は何だ?」。
まんまと彼らの甘い罠に引きずり込まれてゆく。
観る人すべての心をかっさらうとんでもない凶悪犯である。

そして気づけば私の心も既に無い。

【受賞コメント】
ただ大好きなラーメンズの事を、どんな少人数でもいいので知ってもらおうと思い、それだけの為に今回レビューを書かせて頂きましたが、金賞をいただいてしまいました。ありがとうございます。

銀鹿賞 髙木綾乃さん
『日本の黒い夏-冤罪-』(熊井啓監督)


「1994年6月 貴方の目に映る真実とは」
「助けてくれ。」ある晩、犠牲者を大勢出す毒ガス事件が起きた。証拠も無いまま第1通報者である神部氏が重要参考人となった。これが冤罪事件の幕開けである。
映画は事件から1年後、地元の高校生がこの事件に対する冤罪追跡取材を始めることから始まる。「私はあの報道を見て、神部さんが犯人なのだと思ったわ!!」正義をかざす高校生の目に、報道はただ残酷に映った。

  マスコミは少量の知識、噂だけで視聴率重視の根拠の無い報道をした
-彼らが神部氏を犯人に仕立て上げたのか?
視聴者はその知識全てを、報道から受け取る。そしていつしか自分の判断を報道に委ねてしまう
-それとも視聴者なのか?
報道により世論も形成され、警察も追い込まれてゆく
-警察が?

終始監督は何が悪いのか、事件の答えを明らかにしていない。貴方は何と考えますか?是非一度手に取り答えを出して欲しい。様々な情報が入り組む今現在、貴方の目に真実は映っていますか?

【受賞コメント】
 この資料は、松本サリン事件を題材にされています。冤罪事件も実際に起きた事なのです。事実は余りにも衝撃的で、無知な自分に恐怖を感じました。私にとり、社会・メディアへと目を向けさせてくれた大切な資料です。
少しでも多くの方の目に触れ、事実を知り何か感じて頂けたらなと思います。

銀鹿賞 日高裕華さん
『ハッピーHOLGA!』(マーブルブックス編集部編)


「幸せの、ちょっとしたお手伝いになればいい」

あなたは、HOLGAというものをご存知ですか。KING of toycameraと呼ばれるそれは、世界一チープで、世界一軽く、そして世界一写らないと評されるカメラです。高くても一万円を超えない。そんな、写真好きの貧乏人に対してとても親切なこいつは、中々のやり手。写真中央部にしかピントが合わない上、四隅が薄暗くなったり光モレしやすかったりと、まさにtoycameraと呼ばれるに相応しい低機能で一見短所だらけですが、実はそうじゃないんです。光モレが不思議とかわいく思えたり、写真周辺がうっすらとぼやけて、ゆる〜い写真が撮れたり、ね。しちゃうんですよ、これが。見ても撮っても幸せな気分になれる、そんなHOLGAの写真を実例に、ゆっくりやさしく写真の撮り方を教えてくれる、これは、そういう本。最近いいことないなぁ。もしかして私幸薄…?なんて思っちゃったりするあなた。よかったら、読んでみませんか。きっと、お役に立てると思います。

【受賞コメント】
驚きました。それはもう、ものすごく。
当たって砕けろ。そーゆー精神で応募したものだったので、まさか結果に現れて返ってくるなんて…。いやでも、今思えば、砕けなくてよかった…。すごく嬉しいです。
今回使わせてもらった本は、写真の魅力と言いますか…いいものがすごく詰まってます。私のお気に入りです。
情報館二階にしばらく展示されるみたいで、色んな人の目に晒されるのは少し照れくさい気もしますが、これをきっかけにしてこの本やカメラに興味を持った。なんていう人が現れたら、なんかいいですよね。
コンテスト、参加してよかったです。ありがとうございました。

情報館Wコンテスト2007


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