岡本太郎という人
名古屋の繁華街、栄交差点に名古屋三越がある。
そこには、かつて「オリエンタル中村」という、地元の百貨店があった。
その壁面には人間をデフォルメしたとても斬新なレリーフが飾られていた。
作者は、岡本太郎であった。
岡本太郎は今年が生誕百年に当たるそうである。
岡本太郎の存在を知ったのは、大阪万博以降であったと思う。
大阪万博には、「月の石」を展示したアメリカ館をはじめ、数多くの
パヴィリオンが並んでいたが、なんといってもこの万博を象徴し他を圧していたのは
「太陽の塔」である。
塔の中には、生命体の誕生から人類が発生するまでの数十億年の歴史をジオラマ化
したものをらせん状のエスカレーターで上昇しながら、見ることが出来るようになっていた。
高校生の時にその貴重な体験ができたことは、私の財産だと思っている。
大きく目を見開いて、「芸術は爆発だ!」というあの有名なフレーズを残したこのアーティスト
は、生前どれだけの人に理解されていたのか。
少なくともわたしは、とてつもない変わり者だとしか見ていなかった。
しかし、いまあらためて彼の遺した著作集を読むと、人間がおのれ自身の力で生きて
いくことにどんな意味があるのかを我々に問いかけている気がするのである。
情報館所蔵
『岡本太郎の世界』
3F閲覧室 一般図書 723,.1 O42
(text:Bach憧憬)