いま読んでいる本
イサム・ノグチ―宿命の越境者
ドウス昌代著 / 上・下巻
ようやく下巻の半分まで読みすすんだ所です・・・。
イサム・ノグチの伝記は自伝「ある彫刻家の世界」
(美術出版社1969年刊)が定番だったらしいですが、
この本はノグチがのこした数々の作品、未公開の自伝用テープ、
交差した人々への取材を元に、著者の冷静な筆致とまなざしで
これまで語られなかった生涯が丹念に綴られています。
ノグチの後世まで残る作品と、晩年まで女性を引き付けてやまなかった魅力、
波乱万丈の一言では片付けられない日米混血の生まれと翻弄された境遇、
多彩な人々との交流に引き込まれたのはもちろんですが、
ノグチの母レオニーの存在にも強く惹かれました。
ノグチの父、著名な英語詩人野口米次郎との関係、(読んでいるとひどい男としか
思えないのに・・だめんずじゃないか!と。明治の男はそういうものなのか・・
赦してしまう魅力があるのか・・) そして母親としてより強く、深い愛情でノグチに
生きる道を示唆した人物です。
母レオニーが願った生き方、『国や地域の枠を越えて「人間の気持ち」を表現する
「越境者」』になり、後世にまで遺る芸術を生み出して、境界を越えようと闘いながら、
イサムは終生「帰属する場」を求め続けていたように思えます。
最後まで読み終えたときどんなふうに感じるのか・・早く帰ってつづきを読みたい!です。
ちなみにこの本を知ったのは美容室でした。最近読んだ中で『最も印象に残った本』
として美容師さんがおすすめして下さったのですが、以前他のお客さんにも薦めていて、
そうしたらその方が偶然京都に滞在していた著者のドウス昌代さんだったとの話で、
聞いた私もびっくりしました。そんな偶然が・・!
そんな風に(?) お薦めしてもらってから読み始めるまで、ゆうに一年が過ぎてしまいました。が、薦めてくれた方に感謝です。
表紙の擦り切れ具合からいって既に沢山の方が手にされたと思うのですが、
やっぱり私もオススメしたいです。
【情報館所蔵】
イサム・ノグチ : 宿命の越境者 (上・下巻)
ドウス昌代著 / 3F閲覧室 / 一般図書
請求記号:712.53||N 93||1 , 712.53||N 93||2
(text:図書: びよ)