『絵金』(絵金蔵 監修, パルコ出版)
土佐 赤岡
絵金の屏風絵で、知る人ぞ知る古くて小さな町。
高知県のほぼ中央に位置するこの赤岡は、2006年3月に周辺5町と
合併するまで日本で一番小さな町だったそうである。赤岡のことは、
昨年夏に当館で開催した企画展でお世話になったイラストレーターの
林丈二さんから、実際にその町を歩いた経験から教えていただいたもの。
絵金とは、江戸幕末期の絵師、弘瀬金蔵のこと。もとは土佐藩お抱えの
狩野派の絵師であったが、贋作事件に巻き込まれ城下より追放。その後定住
した赤岡で描き上げたのが、今も二十三点残る屏風絵。京都市中では厳かに
祇園囃子が鳴る山鉾祇園祭山鉾巡行と時を同じくして、今月17,18日の黄昏時、
ほのかな灯りがともる商店街の軒先に彩色鮮やかな絵金の屏風絵が並べられ、
幻想的な光景をかもし出す。
赤岡という町名と絵金の屏風絵との取り合わせは、きわめて絶妙である。
なお、林さん、赤瀬川さん、南伸坊さんら路上観察の達人たちが赤岡町の
町模様を面白おかしく語り描く『犬も歩けば赤岡町』(風土社)もおすすめです。
・情報館所蔵情報
『絵金』:3階閲覧室 一般図書 721.8 E42
(text:bach憧憬)