ホメオスタシスのゆくえ

ホメオスタシスの語は、「同一であること」を意味するギリシア語のhomeoと「平衡状態」を意味するstasisを結びつけられた言葉である。(本書「はしがき」より)

ホメオスタシスの意味:生物体または生物システムが間断なく外的および内的環境の変化を受けながらも、個体またはシステムとしての秩序を安定した状態に保つ働きをいう。恒常性ともよぶ。(日本大百科事典より)

この言葉は、環境問題に対しても有効な言葉であると著者は語っています。つまり、環境問題は、自然環境におけるホメオスタシスの解体・喪失だという視点で語られています。また同時に人間における精神のホメオスタシスの状態も指摘されています。

環境問題の歴史から、一言で環境問題といっても様々な環境問題があること、それに対して、人が抱く環境への思想について、また、宮沢賢治や宮崎駿の自然観の具体的な説明があり、最後は、水俣病問題まで語られている本書は、エコという言葉で環境問題に関心を持つのはいいかもしれないけれど、今一度、立ち止まって環境問題について冷静に考え、本当に私たちがやるべきことは何か、考えなくてはいけないことは何かを自分自身へ問う一冊だと思います。

(text:たわし)

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