饂飩・金刀比羅宮・猪熊弦一郎

香川への小旅行に関する記憶のフラグメント。

3月末に控える一大行事「Cumulus Kyoto 2008」の準備で多忙を極める同僚たちに申し訳なく思いながらも、先日、香川県への小旅行を敢行ました。旅ログとリコメンドを兼ねて以下に書き散らかします。

往路にて

行きのバスの車中で、川俣正さんがこれまでの活動の軌跡を自ら綴った新刊『オン・ザ・ウェイ:川俣正のアートレスな旅』を読む。面白いのでグイグイ読んでしまったがバスの到着を待たずして読了しちゃうのももったいないので中断。サイトスペシフィックな仮設展示の意義や方法論、現代美術の社会との関わり方や可能性、そして川俣さんという人物の生き様について、窓外の風景をぼんやりと眺めながら思索してた。

瑣末なシンクロニシティ

故あって岡山で一泊。その晩、テレビをつけると奇しくも本広監督の『UDON』が放映されていた。否応にも本場の讃岐うどんへの期待が高まる。こういうシンクロ現象は実は誰にでも四六時中あるはずで、感覚のチャネルさえ開いておけば気づく(というか誘導される)ものである・・・と思う。

うどん三昧

かけ、ぶっかけ、ざる、湯だめ、釜揚げ、生醤油・・・。安いし旨い。執拗なくらいに噛んで嚥下しないと窒息死してしまいそうなくらいコシのあるうどんに舌鼓をうつ。気のおけない大衆的な雰囲気の店内には、「勝手に取んねぇ」的なセルフサービスのおでんやビールが置いてあったりする。

丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(MIMOCA)

shinnyが以前にブログで採り上げていた「エイヤ=リーサ・アハティラ展」と「猪熊弦一郎展 Confusion and Order[混乱と秩序]」を観に行く。谷口吉夫氏設計でしかもイノゲンさんの美術館ということで、かねてより行きたいと希望しながらこれまでに至った。師マティスの影響を逃れてオリジナリティを獲得してからの画伯の作品が好きだ。抽象描写・画面構成・配色のセンスにはただただ敬服。この夏、みんなにイジってもらえるようミュージアムショップでT-シャツを購入。
□猪熊弦一郎現代美術館HP  http://www.mimoca.org/

琴平温泉街

観光客数の割には寂れた風情があってイイ。立ち並ぶ土産物屋とその陳列品の雑駁感、目に焼きつく色とりどりの原色系看板が旅情をかきたてる。おそらくおばさまが出てくるんじゃないかとおぼしき風俗店が裏通りに散在しているのもグッド。「温泉街の類型学」なんてのもいいかもね。ご当地観光協会のユルい感じがひしひしと伝わってくる。帰りに名物の「灸まん」ではなく、森の石松のイラストが焼印された餡入りせんべいをお土産に入手(黄色い包装紙が鮮烈)。なぜか斎藤環さんの語っていた「おたく」「サブカル」「ヤンキー」という文化人類学的な大分類が脳裏をよぎる。多くの街の風景が第3カテゴリーの人々のセンスにあふれているように思えるのは気のせいだろうか。

金刀比羅宮(こんぴらさん)

どんだけしんどい石段なのかと思いきや、健脚派の僕にとっては存外にもあっさりと一番上の本宮まで到着。どう考えても神社とは無関係そうなオブジェが各所に配置されキッチュな印象を受けたが、なんでも併呑してしまう懐の深い日本文化の一端を垣間見たような気がする。
□金刀比羅宮HP http://www.konpira.or.jp/

田窪恭治さんと椿

「林檎の礼拝堂」で有名な美術家の田窪恭治さん。一昨年の晩秋、フランスを旅行した際には諸事情によりノルマンディ地方の小さな村にあるそのチャペルの見学を諦念してしまったこともあり、ずっとこの作家さんのことが頭の片隅に引っかかっていた。現在は琴平に居を移され、金刀比羅宮の書院の襖に椿の絵を描かれているそうだ。僕が行ったときには未公開だったため、円山応挙らの障壁画を観て回った。本宮に至る道中には、資生堂パーラーがプロデュースする「神椿」という完全予約制のレストランがあり、ここも田窪さんが手がけたタイル画で装飾されている。セルフサービス形式のカフェも併設されているので気軽に入場して作品鑑賞ができる。

(text:情是)

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