『道は開ける』 デール・カーネギー
ぐるぐる悩む。答えが出ない。
この年末年始は色々と思うところがあって自己啓発本を読んでいた。元来あまりこういった本には興味を持たないほうなのだが、その割に日頃思い悩むことが多い。自分の気が済むまでとことん考え尽くして、(時には他人を追及の渦に巻き込んでしまうこともあったりするのだけれど)最後には自分で答えを出す。そんな私が自己啓発本に興味を持ったのは、昨年1年にわたりどれだけ考えても、どれだけ話し合っても答えの出ないことがあったからだ。良い答えを出したい。事態を打開したい。自分自身を変えたい。そんな気持ちでこの本を手に取った。
デール・カーネギーの著書、『人を動かす』『道は開ける』は”元祖自己啓発本”として多くの人が推薦している。著書自体は1970年代に書かれたものだが、その内容は、時代に関係なく私たちにとって心強い言葉となって響く。たくさんの具体例も挙げられており、精神論にとどまらない実践的手引書となっている。『道は開ける』では大きな悩みや困難に直面した時に、どのように考えるか、また悩みのない人生を送るにはどのような心の持ち方をすればよいかということが中心に述べられている。
人が悩みの渦中にいる時には周りの状況に盲目になってしまいがちだ。そんな時には目線や発想を変えてみることが必要で、そのきっかけをつかめれば「何であんなに悩んでいたのだろう」と思うことも多い。神が降りてきた、とか光が差してきた、とか思う瞬間は、実は自分の発想が変わって状況が見えてきたということだったりする。この本もそのきっかけを作ってくれる1つではないかと思う。神棚代わりに飾っておき、悩んだ時にはこの本を手にする…というのは冗談としても、きっと役に立つだろう。
著書では、カーネギー自身が様々な人の経験談から得たことも多く述べられている。答えを出すのは自分自身だけれど、自分という限られた世界ではなく、他人との関わりという広い世界に触れることの大切さもまた忘れてはならない。基本的だけれど忘れがちなことを、この本を読んで思い出したい。