鈴木重子 『プレゼンサ 〜the Best of Shigeko Suzuki〜』

優しさの中に見えるもの。

彼女の歌声を聞いた時、「個性とは、シンガーとはこういうことか」と思った。Amazonのレビューなどを読んでいると「透明感のある澄んだ歌声に癒される」というものが多い。なるほどそれもその通りなのだが、私は少しハスキーにも感じられる彼女の声に心の奥を掻き立てられるような刺激を感じる。どの歌もゆったりとして優しい声で歌われているのに。

彼女はどんな歌も、自分の色で歌う。それがプロなのだと言われればそれまでなのだけれど、どんなに有名な曲のカヴァーでも、しっかりと自分のものにして独特の雰囲気を醸し出す。空気を鈴木重子色にしっかりと染めて、私たちを包みこむ。本当の意味でそれが出来るシンガーがどれくらいいるだろうか。

心地よく流れていく音楽が溢れている中で、彼女の個性はとても貴重なものだ。

(Text:Booktree)

    fromKYOTO

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