Video Art
昨年、東京・六本木の森美術館に「ビル・ヴィオラ:はつゆめ」展を観に行ったときに図録の隣に置いてあったこの本を購入した。
映像コースの伊奈先生とお昼をご一緒した際に、「教科書にも使えるようなヴィデオアートの歴史を俯瞰できる日本語の入門書がないんだよねぇー」とこぼしておられたことがある。せめてもタッシェン本の和訳化を切望されていたのが記憶に残っていたので僕も読んでみた。
薄い本なのだが初心者には十分な解説が掲載されている。ナム・ジュン・パイク、ビル・ヴィオラ、ゲイリー・ヒル、マリーナ・アブラモヴィッチ、ブルース・ナウマン、ピピロッティ・リストをはじめ、おさえておくべきアーティストが端的に紹介されている(マルチメディア講演会に二度もお越しいただいたことのあるビヨルン・メルフースさんも名を連ねていた)。
伊奈先生の嘆きはひとえに学生さんが洋書購読に取り組まないことにある。実習・演習科目が多いとはいえ、メディアの歴史や理論をきっちり学んだうえで自分流の表現方法を模索していくという温故知新が必要なのだ。せめても上回生になれば、手始めに本書くらいのテキストボリュームの少ない本から洋書にチャレンジしてもらいたい。
ご存知かとは思うがタッシェンから出ている本は驚くほど安くお得感がある。情報館に所蔵がなくても私費で購入できる価格帯なので、amazon等で入手して勉強されてはいかがかと。
追記:少しばかりフライング気味の情報ではあるが、年末に伊奈先生編著の実験映像の入門書が刊行予定となっている。発売されたらこのブログ上でも紹介したい。
(text:情是)