生きる儘 : 自然の成りゆき–木村英輝画集

木村英輝さんという方の存在を知ったのは『団塊パンチ』というムックだった。この本(雑誌)は、1960年代後半から1970年代にかけて団塊の世代から圧倒的支持を受けていた伝説的雑誌『平凡パンチ』へのオマージュのような形で、『QuickJapan』初代編集長の赤田祐一さんが立ち上げた骨太の季刊誌である(情報館でも所蔵)。

『団塊パンチ』は内容がとにかく濃い!毎回異なる特集も出色ながら連載モノが滅法面白く、団塊世代のはちゃめちゃなヤンチャぶりとエネルギーが伝わってくる。「続 続 シャングリラの予言」(森永博志×立川直樹)、「VANの神話」、「キャロルの時代」(小野耕世先生)、「回想録・象の記憶」(川添象郎)といった強力な連載に混じって異彩を放っていたのが、木村英輝さんの「国産ロックフェスティバルの夜明け–幻の富士オデッセイ」であった。これは、京大西部講堂でMOJO-WESTというロック・フェスを開催するに至るまでの奮闘の歴史を当時の文化・世相を交えながら事細かく鮮やかに描いた青春ドキュメントで、木村氏が交流した個性的な友人たちに向ける優しい眼差しが伝わってきて思わず胸が熱くなる。

脱線してしまうが、4号の同エッセイにはデザイン学部の坪内先生の名前も登場する。先生もMOJO-WEST立ち上げに携ったスタッフの一員だったらしい。入場チケットも兼ねた「MOJO-WEST新聞」には次のような若者らしい刺激的なコメントを残されている。興味深いので勝手ながら少しだけ孫引きさせていただくことにしよう。
「(略)ロックは、ただのロックであることを原点にしない限り自己の非主体性という便秘症状は治らない。ロックはもろもろの汚物、悪臭のクソをたたき出してくれる。」(『団塊パンチ』4号 p-154より)
どう読みたくなった?気になる人はさっそく情報館へゴー!水着姿の眩しいアグネス・ラム様の表紙が目印です。

さて本題に戻ると、木村さんはなんと還暦を過ぎてから動植物をモチーフにした壁画製作に着手され、京都を中心に精力的に活動されている。その絵がめちゃめちゃクールでカッコイイのだ(情報館内にもぜひ壁画を描いてていただきたい)。平面作品でガツンとやられたのは個人的には久々のことだった。絵は体を表すとでもいうのか、齢を経てなおその作品にはロックな精神が息づいているようにも感じられる。うーん、憧れちゃいますね。

■木村英輝さんHPはコチラ

(text:情是)

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